【前史】

TXから見る筑波山
TXから見る筑波山

 つくばエクスプレス(TX)という電車をご存知でしょうか?

 かつては「常磐新線」と呼ばれ、2005年に開通した、東京の秋葉原と茨城県つくば市とを結ぶ新しい鉄道路線です。

 TXが開業し、東京都心とつくばが45分で結ばれるようになり、まことに便利になりました。

 

 しかし、TXが開通するその日まで、東京と茨城を結ぶ鉄道というと、真っ先に思い起こされるのはJR常磐線でした。

 

 私事で恐縮ですが、私の田舎は茨城にあります。

 私鉄が大好きだった私は、幼い頃から、帰省するたびに「なぜ常磐線には並行する私鉄がないのだろう」と思っていました。

 その一方で、茨城で待つ祖父母からは「いつか常磐新線が出来るんだよ」と、何度も聞かされたものでした。

 

 私は、祖父母から聞かされた「常磐新線」なる鉄道がどんなものになるのか、わくわくしていたことを覚えています。また、同時に「常磐新線」がもっと昔からあったならば…という空想を抱くに至りました。

 

 時は下り、TXは開業を迎えました。

 TXは、私が思っていた以上に、素晴らしい鉄道でした。

 夢にまで見た「私鉄電車の車窓から観る筑波山」を観たときの感動は忘れられません。

 

 ですが、新幹線のように小奇麗過ぎるTXに、私の大好きな「私鉄臭さ」を求めるのはいささか酷なものがあります。

 ならば、かつて空想した、「常磐新線」がもっと昔からあったならば…という想いを突き詰めてみようと考えました。

 

 茨城県下を走る、「TXではない」大手私鉄を観てみたい。

 

 常総急行は、そんな私の「想い」を表現したくて創り上げた架空の鉄道です。そして、この架鉄は、TXに対するオマージュであるとともに、私なりのアンサーソングです。

 

 つまらない妄想の産物ではございますが、しばしの間、私の空想にお付き合い頂ければ幸いです。