【対照表】

 乗務員が方向幕を操作するときに参照する、いわゆる「対照表」である。

直流通勤型 対照表
直流通勤型 対照表

 直流車は交流区間には入線できないため、茨城線水海道以北の駅名を装備していない。
 また、分割併合運転や支線運転時の乗務員の負担を軽減するため、2つの行き先を併記した幕や支線運転用の幕が多く装備されているのが特徴的である。

交直両用通勤型 対照表
交直両用通勤型 対照表

 こちらは直流車とは逆に、電化線区ならどこでも入線できるので、各電化路線の駅名を一通り装備している。ただし、交直流車は茨城線での運用がほとんどのため、行先幕の内容や配列も茨城線を中心としたものとなっている。

地下鉄直通用 対照表
地下鉄直通用 対照表

 地下鉄直通車は、地上専用車と比較して区間運転用・分割併合運転用の幕がない代わりに、乗り入れ先の都営三田線や東急線の駅名の幕を持っている。
 また、ダイヤ混乱時などに突発的に発生するイレギュラー運用に備え、通常は乗り入れない東急線武蔵小杉以南や東京メトロ南北線、埼玉高速線の駅名も装備している。(実際には途中駅で車両交換が実施されるため、常急車がそのまま乗り入れることは皆無である)

特急用 対照表
特急用 対照表

 停車駅が限られる特急車の場合、通勤車に比べて行先幕のコマ数が少なくなっているが、「かすみ」「しもつけ」といった列車名を併記した種別幕や、「筑波山号」や「霞ヶ浦釣行号」「水戸観梅号」など、特定の臨時・季節列車用の幕を持っていることが特徴的である。

 
 直流専用車・交直両用車とも同一の幕を装備しているが、当然ながら直流専用車は交流電化区間には入線できないため、直流車の茨城線系統の幕が使用されることはない。
 逆に、交直流車の宇都宮線系統の幕であるが、車両運用の都合で宇都宮線の特急に充当されることもあるので、こちらは目にする機会がある。

 

 種別幕にある「常陽」はかつて使用されていた愛称であり、現在は使用されていない。
 同じく種別幕の「那須路」と、行先幕の「黒磯」と「西那須野」は、JR東北線乗り入れを考慮したものだが、いまだ直通運転は実現していない。

気動車用 対照表
気動車用 対照表

 気動車は基本的に各路線専属のため、各々が使用するコマは限られるが、幕自体は全車共通のものを使用している。


 特筆すべきは、常急線の各主要駅はもちろんのこと、JR線(常磐線と水戸線)・真岡鉄道線・鹿島臨海線といった他社線の駅名も備えていることであろう。

 これは気動車の特徴である、電化方式や非電化を問わない高い機動性と、輸送需要に応じて自由自在に連結両数を変更できる汎用性を考慮した結果である。現在のところ、常急線から他社線への定期直通運転は設定されていないが、いつでも乗り入れ運転ができるようになっている。

 

 なお、手動式の方向幕を持つ旧型気動車も一部で残っており、これらについては一部の主要駅と非電化区間の主要駅のみを掲載した幕となっている。